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夏に起こりやすい脳卒中 -「脳梗塞について」-

待合室 その23

夏に起こりやすい脳卒中
      - 「脳梗塞について」 -

中通総合病院 医師 佐 藤 知

照りつける日差しが眩しく、夏の到来を予感させる季節です。さて、脳卒中は冬に起こりやすい病気というイメージがありますが、どうでしょうか。脳卒中は大きく分けて3タイプあります。現在、最も多い脳卒中は脳梗塞で、約6割。脳出血が約3割。くも膜下出血が約1割といわれています。脳出血・くも膜下出血は冬に多く発症することが知られており、昔は脳出血の割合が脳梗塞よりも多かったため、「脳卒中は冬の病気」というイメージになったと思われます。脳梗塞は季節による発症頻度に特定の差がないといわれており、そのため、夏の脳卒中の中では圧倒的に脳梗塞が多いのです。本格的な夏の訪れを前に、脳梗塞について勉強してみましょう。

【脳梗塞ってどんな病気】
最近では巨人軍の長嶋名誉監督や歌手の西城秀樹さんなどが脳梗塞で倒れられたことを思い出される方もいると思います。脳梗塞とはどんな病気なのでしょうか? 「梗塞」という言葉は、ある臓器を栄養している血管が閉塞することを意味します。従って、脳を栄養している動脈が閉塞、すなわち詰まることが原因で起こるのが脳梗塞という病気なのです。脳梗塞は発症の仕方によって2通りあります。1つ目は、心臓に心房細動などの不整脈や、弁膜症などの病気があると心臓の中で「血栓」という血の塊が作られ、ある時、その血栓が心臓から飛び出して脳の血管に流れ、割と太い動脈をドン、と詰める(塞栓)タイプ。これを「脳塞栓症」といい、脳梗塞の中でも重症例が多いタイプです。もう1つは、脳の動脈硬化が元々の原因で、脳の血管内腔が狭くなることにより、その部分に血栓が徐々に形成され、ある時ついに閉塞してしまうタイプ。こちらは「脳血栓症」といいます。どちらかというと細めの血管に起こりやすく、前ぶれとして一過性に症状が出ることがあります。症状は病巣の場所や広がりによりさまざまですが、重症例では命にかかわることもあります。代表的な症状は、半身まひや感覚障害、めまい、構音障害(ろれつが回らない)などです。

【夏になぜ脳梗塞が多いのか】
最近テレビ番組で、血液ドロドロとかサラサラといった表現を耳にしたことがあると思いますが、その血液ドロドロこそが脳梗塞を引き起こす大きな原因の一つなのです。前述したように、脳梗塞はいずれのタイプも血栓ができることが原因で血管が閉塞します。血栓は血液がドロドロの状態の時にできやすいのは感覚的にイメージしやすいと思います。血液というのは、赤血球や白血球、血小板といった血球成分と、液体である血しょう成分とからできています。夏場に汗を多くかいたり、体からたくさんの水分が蒸発したりすると、当然血しょう中の水分も減少します。そうすると、当然血液の粘度(ドロドロの度合いのこと)が高くなり、血栓が形成されやすくなります。すると、動脈硬化を起こして狭くなった血管では血液の流れが悪くなり、そこで血が固まり、閉塞⇒脳梗塞にいたる、という図式になります。もちろんそれだけが原因ではなく、夏場にはそういった要因もあるため、他の季節に比べ、脳梗塞が起こりやすいといわれています。

【脳梗塞にならないために】
以上のことから、夏場に脳梗塞にならないようにするためには、水分の補給を十分にすることが重要であることはお分かりいただけると思います。しかし、脳梗塞の危険因子とされているものは、高血圧・糖尿病・高脂血症・喫煙・過度の飲酒・心疾患の存在などであり、言うまでもなくこれらを放置したまま水分だけ多めに摂取しても意味のないことは当然です。具体的には、外に出かける時や運動の際、入浴前や就寝前なども水分の補給を心がけ、厳しい夏を乗り切りましょう。