ひろば

腸管出血性大腸菌感染症って?

その26

腸管出血性大腸菌感染症って?

 

中通総合病院 臨床検査課 臨床検査技師  櫻庭健太

今年5月初め、焼肉チェーン店で生牛肉を食べた4名が腸管出血性大腸菌O111に感染し、死亡するという痛ましい事件が発生しました。また、腸管出血性大腸菌は日本だけではなく、ヨーロッパでも大発生し、猛威を振るっています。では腸管出血性大腸菌とはどんな菌なのか、どうしたら予防することが出来るのか説明します。

● どんな菌?
通常の大腸菌は動物や人の大腸に住み、害を与えません。しかし大腸菌の中には食中毒などの原因となるものがあり、これらを総称して病原性大腸菌と呼んでいます。代表的なものに「O157」「O26」「O111」「O104」が挙げられます。また、当院では細菌検査室での便培養を行っており、通常3~5日で結果が分かります

● 腸管出血性大腸菌の特徴
① 強い感染力
食中毒で代表的なサルモネラ菌などは、100万個以上が体内に入らないと感染しませんが、腸管出血性大腸菌は100個たらずでも腸の中で増殖するので食物にごく少量ついていても感染します。
② 長い潜伏期間と初期症状
腸の中で菌が増殖して毒素をつくるので、潜伏期間が4~9日間と長く、感染源が特定しにくいのが特徴です。また、そのため、汚染された食品が流通してしまったり、調理用具や水などを介して食物に菌がうつる(二次汚染)などして感染が広まる危険があります。初期症状として下痢を引き起こし、はじめは水のようですが、あとで出血を伴うことがあります。血便というより、真っ赤な血が出るような症状を示し、吐き気やおう吐、発熱が伴うこともあります。

● 感染経路は?
腸管出血性大腸菌は家畜や、感染者の便を通じて汚染された食品や水(井戸水など)の飲食で感染する例がほとんどです。菌の汚染源としては、国内では井戸水、サラダ、生レバーなど報告されていますが、飲み水や食物に腸管出血性大腸菌が少量でもついていれば、どれも感染源となります。また、調理用具などを通して二次汚染で食物に菌がついたり、タオルなどの共用や、患者さんの便→トイレのノブや風呂の水→手→食物→口といった経路で感染者から他の人へ感染する危険があり、家族で下痢をしている人がいた場合は注意が必要です。

● 予防方法は?
他の食中毒菌と同様に熱に弱く、どの消毒剤でも死滅します。つまり、一般的な食中毒対策を行えば、感染を最小限にくい止められます。おっくうがらずに調理器具や手をこまめに洗うようにしましょう。
・ せっけんや消毒薬で十分に手を洗いましょう。(帰宅時、食事前、調理前、トイレ後など)
・ 生野菜は流水でよく洗い、食品は十分に加熱(中心部を75℃で1分間以上)し、生肉、生レバー、ユッケを食べるのは控えましょう。
・ 焼肉をする場合は、生肉専用の箸を用いるなど、箸の使い分けをしましょう。

● 最後に
当院では感染制御部(ICT)が中心となり、日々感染防止対策に奮闘しております。
将来、どんな感染症が私たちの生活を脅かすか分かりません。私もICTの一員として専門性を活かし、地域における感染情報に気を配り、感染症を未然に防ぐために更なる努力をしていきたいと思います。
そして今後も患者様に安心・満足のいく医療を提供できればと考えております。