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コミュニケーション障害にかかわる言語聴覚士

その25

コミュニケーション障害にかかわる言語聴覚士

中通リハビリテーション病院 リハビリテーション部 言語聴覚士   大竹伸行

言語聴覚士の仕事って?
言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)と聞いて、耳慣れない方も多いでしょう。1999年に国家資格に認定されたものの、秋田県にはまだ100名弱しかおらず、県内でも県南に少ないなど、その供給には差が見られます。当院では4名の言語聴覚士で、一か月約130名(2010年9月現在)のリハビリを担当させていただいています。秋田県では他県に比べ、まだまだ認知度も低いのが現状であります。しかし、その歴史は古く、当院では開設当初から言語のリハビリに力を注ぎ、地域に貢献をしていたと耳にしたことがあります。今回、皆様にわれわれの仕事を知っていただく機会を得ましたので、名前だけでも覚えてもらえたら幸いです。
われわれ言語聴覚士がどのような方々にリハビリのお手伝いをしているかというと、その対象疾患は先天的なもの(生まれ持ってのもの)から後天的なもの(生まれてからこれまでのもの)まで多岐にわたり、主にかかわる障害としては以下のようなものがあります。①失語症 ②構音障害 ③高次脳機能障害 ④摂食嚥下(えんげ)障害 ⑤音声障害 ⑥聴覚障害 ⑦言語発達遅滞 ⑧吃音(きつおん) などです。

失語症を考えてみましょう
失語症というものを例にとって考えてみます。生きてきた中で一度獲得し、無意識に使用していた機能が、ある日を境に使用が難しくなる。「言葉」に置き換えるならば、普段何気なく見聞きしていた言葉が分からなくなる。または分かっているのに話せなくなり、他者とのコミュニケーションが成立しにくくなる。これは想像以上のストレスと不安が伴うものと思われます。
われわれが学生に失語症をイメージしてもらうとき、例えとして「ある日、目が覚めたら見知らぬ土地で周りの人が日本語じゃない言葉でコミュニケーションを取っていて、全く日本語が通じなかったときのことを想像してください」と言うことがあります。もし健常であれば、そのような状況になったとしても、混乱しながらも、言葉が分からなくとも、さまざまな工夫をすることでしょう。相手の表情を見たりジェスチャーを試みたりと、その場から何かを感じ、自分が取るべき行動・コミュニケーション手段を考えるはずです。しかし、病気というものは、それも簡単に許してくれない場合があるのです。
われわれ言語聴覚士が行うのは言語機能の改善はもちろんのこと、そのような残存機能を用いた、統合的なコミュニケーション能力の改善へ向けた取り組みへのお手伝いだと考えています。

摂食嚥下障害とは?
また今日では、食べ物をかんだり飲み込んだりできない「摂食嚥下障害」という分野が注目されています。原因は脳血管障害によるものが多いですが、人は加齢に伴い個人差はありますが、構造的に食べ物が気管に入りやすくなります。①食事中むせることが多い②咳・痰が増えてきた③最近やせてきている④熱をよく上げるなどは、誤嚥性肺炎のリスクとして大きなサインです。気になる方は中通総合病院で飲み込みの検査を受けることができますのでご相談ください。
われわれはその中で、口からできる限り食べたい・食べさせたいという方への食べ方・食べさせ方の工夫、食形態の工夫、機能そのものへのアプローチを行っています。誤嚥性肺炎を防止する一番の予防は口腔内の衛生を保つことです。特に食前食後の歯磨き(口腔ケア)などがいいでしょう。

最後にリハビリとは
患者さん本人の気持ちに対する家族の協力、全身の管理に対処する医師、看護師、薬剤師、改善をサポートしていく理学療法士、作業療法士、医療ソーシャルワーカーなど、リハビリスタッフがチームとなって目標に向かっていくことが必要であり、その中で言語聴覚士としての専門性を発揮していくことを日々考えながら精進していきたいと考えています。