ひろば

目と紫外線

待合室 その24

目と紫外線

中通総合病院 眼科 医師 羽渕由紀子

明るい太陽の日差しは私たちを常に楽しい気持ちにしてくれます。私たちにとっても自然にとってもありがたい太陽の恵みですが、そこに含まれる紫外線によるダメージには気をつけなければなりません。紫外線によるダメージといえば、ほとんどの方はまず日焼けを連想することと思います。しかし、肌と同じように日光にさらされている小さな眼球へのダメージがあるということはあまり知られていないようです。
その紫外線とはいったいなんでしょうか?光は可視光線(波長400~760nm)とそれよりも波長の短い紫外線(100~400nm)と、可視光線よりも波長の長い赤外線(760nm~1mm )に分けられます。紫外線はさらに、長波長紫外線(UVA:400~320nm)、中波長紫外線(UVB:320~290nm)、短波長紫外線(UVC:290~100nm)に分類されます。自然界ではUVCは大気中のオゾン層に完全に吸収されてしまいますので、地表で私たちに影響を及ぼすのはUVAとUVBです。UVBは波長が短いため、眼球の表面である角膜(黒目)で約40%が吸収されます。UVBの残り60%とUVAの90%が角膜を透過した後、ほとんどが水晶体(レンズ)で吸収されます。したがって太陽光線に含まれる紫外線による目の障害は主に目の表面の角膜および結膜(白目)と水晶体に起こると言っていいと思います。
角膜に起こる障害には“雪目”と称される障害があります。これはUVBが多く降り注ぐ春先のスキーや冬山登山にて生じやすいものです。紫外線にあたってすぐには起こらず、しばらくの潜伏時間(数時間)の後に角膜に炎症を起こします。角膜の広い範囲に障害が起こるため、目の痛みが強く、目が開けられないこともあります。しかしながら、炎症、痛みとも自然と半日~2日ほどで治癒します。それでもいったん起これば大きな苦痛を伴いますので、紫外線をブロックするサングラスにて可能な限り予防することが大切です。
水晶体への障害としては白内障があげられます。紫外線によって水晶体上皮細胞のDNAに傷がつき、水晶体が混濁していきます。いったん水晶体が混濁し、視力に影響が及べば手術にて混濁した水晶体を摘出して、眼内レンズを埋め込む治療が必要になります。
その他の障害としては、結膜(白目)の組織が角膜に三角形にかぶさってくる翼状片という病気があります。放置すると乱視や視力低下を引き起こしますので、手術で切除しなければならないこともあります。
自然界の紫外線のほかに、特殊な状況下での障害として、殺菌灯、溶接アーク、水銀灯、ハロゲン机上灯のUVCによる障害も忘れてはいけません。そのような光を見つめることで同様な症状が起こります。保護眼鏡による予防が可能です。
以上紫外線が目に及ぼす障害についてお話しました。予防できるところは適切に対処して、紫外線による不快な眼症状から身を守って、日々過ごしていただきたいと思います。
※nm(ナノメートル・1nm=1mmの100万分の1)