歯科通信

歯科治療、顎関節症の自然経過

★ 歯科医師 東海林 克

◇顎関節症の治療

(3)治療の実際
7.歯科治療
顎関節症の発症・悪化の要因として、「歯の咬み合わせ」も含まれますが、以前のようにかみ合わせだけが直接的な原因であるという考え方は否定されています。一般社団法人「日本顎関節学会」が策成した「顎関節症患者のための初期治療ガイドライン」に、「顎関節症だから、歯を削って調整します」それって、有効?という設問があり、「いきなり歯を削るかみ合わせの調整を受けるのは、できるだけ避けましょう。」というコメントがなされています。さらに、「日本顎関節学会は、初期治療として咬合調整は行わないことを推奨しています。」との付記もされています。
以前は、早期に外科処置を行ったり、全ての症例にスプリント治療を行うということがありましたが、現在においては治療行為を中止することで、治療前の状態に戻すことが可能な「可逆的治療法(かぎゃくてきちりょうほう」」が推奨されています。治療行為を行った結果、効果が上がらなかったり、逆に症状が悪化した場合に、治療前の状態に戻せるということで、悪化を防ぐとともに、別の対応法を探すことができます。

(4)治療の目標
治療目標は、顎関節部および咀嚼筋部の痛みを取るということと、機能障害の改善することで、日常生活の障害の回復して、再発を防止することです

◇顎関節症の自然経過
1990年代に行われたいくつかの研究で、顎関節症で症状が強く出る「関節円板障害」のⅢb「非復位性円板前方転位」の病態の患者さんに、治療をしないで1~2.5年間症状の経過を定期的に診るということが行われました。その結果、症状の悪化が見られた症例はわずかで、ほとんどの方は自然に症状が軽快するというものでした。
しかし、歯科を受診して、「行動療法などの生活指導」を受けて、症状の悪化や再発の要因となるであろう生活習慣の改善指導を行うことは、早期に症状の軽快を図る上で非常に重要です。

2014年6月号 顎関節症について  顎関節症の治療8