歯科通信

スプリント療法(特殊型)

★ 歯科医師 東海林 克

◇顎関節症の治療
(3)治療の実際

5.スプリント療法
◆特殊型
ロ.ピボット型(臼歯部拳上型)
誘導型と同様に上あごか下あごのどちらかの歯列全体を覆う形をしていますが、誘導板はなく左右の一番後ろの歯の咬む面に、「ピボット」と呼ばれる突起を付与します。「顎関節円板障害(がくかんせつえんばんしょうがい)」で、「関節円板」前方にずれたことで、食べ物を咬むたびに関節に圧力が加わるのを弱める目的で使用されます。

「過去には」と前置きしたのは、一般社団法人「日本顎関節学会」が「日本歯科医学会」からの助成のもとに、「公益社団法人 日本補綴歯科学会」、「公益社団法人 日本口腔外科学会」、「公益法人 日本矯正歯科学会」、「特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会」、「一般社団法人 日本小児歯科学会」、「日本口腔リハビリテーション学会」との協議を経て、「顎関節症患者のための初期治療ガイドライン」が作成しました。その中に、「あごの筋肉が痛いとき、スタビライゼーションスプリントは有効?」との設問があり、答えとして以下のような記述があります。スタビライゼーションスプリントを使った治療を受けてもいいでしょう。
咀嚼筋痛を主訴とする顎関節症患者において、適応症・治療目的・治療による害や負担・他治療の可能性も含めて十分なインフォームドコンセントを行うならば、上顎型スタビライゼーションスプリント治療を行っても良い。
さらに、
・「顎関節症」や「スプリント治療」などについては、主治医の説明を十分に聞いてください。
・ここでいうスプリントは、上の歯全体を覆う薄い透明なプラスチックのスプリントで、他のスプリントを評価したものではありません。また、いろいろな慢性疾患(腰痛・アトピー性皮膚炎・体のバランスなど)に効果があると説明されるケースがありますが、それを立証する確かな研究はありません。
スプリントは、基本的に就寝時に使用します。そのため違和感や口の渇き、不眠や逆に朝の疼痛増強などの可能性があることを事前にしっかり説明する必要があります。また、定期的な経過観察が必要で、2週間使用して症状の改善が見られない場合、あるいは悪化した時には、主治医と相談の上、一般社団法人「日本顎関節学会」の認定医・指導医のいる医療施設絵紹介してもらうようにとの記載もあります。


《引用文献》 一般社団法人 日本顎関節学会 初期治療ガイドラインホームページ
一般社団法人 日本顎関節学会  初期治療ガイドライン作成委員会編  顎関節症患者のための 初期治療診療ガイドライン  咀嚼筋痛を主訴とする顎関節症患者に対するスタビライゼーションスプリント治療について 一般歯科医師編ホームページ
信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会ホームページ


2014年5月号 顎関節症について  顎関節症の治療7