歯科通信

薬物療法  理学療法

★ 歯科医師 東海林 克

2.薬物療法
顎関節症の薬物療法には、下記のものがあります。
(Ⅰ)内服薬
①非ステロイド性消炎鎮痛剤
②中枢性筋弛緩剤
③麻薬系薬物
④ベンゾジアゼピン系薬物
⑤抗うつ薬

(Ⅱ)関節腔注入薬
①副腎皮質ステロイド薬
②ヒアルロン酸
 
これらの内で一般的に用いられるのは内服薬の「非ステロイド性消炎鎮痛剤(ひすてろいどせいしょうえんちんつうざい)「中枢性筋弛緩剤(ちゅうすうせいきんしかんざい)です。このうち「中枢性筋弛緩剤」は、「咀嚼筋障害(そしゃくきんしょうがい)「関節円板障害(かんせつえんばんしょうがい)で、下あごを動かす筋肉である「咀嚼筋(そしゃくきん)「圧痛(あっつう)=押して痛みを感じることがあるときに用いられますが、近年の研究では明らかな効果を示すだけのデータは無いと報告されています。また、「非ステロイド性消炎鎮痛剤」は、「顎関節痛障害(がくかんせつつうしょうがい)や、「関節円板障害」「変形性顎関節症(へんけいせいがくかんせつしょう)で、炎症に伴う「痛み」がある場合に適用されます。しかし、「気管支喘息(きかんしぜんそく)がある場合には喘息発作を誘発する危険性があることと、「消化器潰瘍(しょうかきかいよう)がある場合には、潰瘍を悪化させる可能性が高いなど使用が困難なことがあります。
抗うつ剤の使用や、「関節腔注入(かんせつくうちゅうにゅう)=関節腔内に注射で薬剤を注入する方法は、専門的な知識を必要としますので、歯科大学や大学病院あるいは総合病院の歯科口腔外科で行われます。

3.理学療法
理学療法には、①物理療法、②運動療法、③その他(行動医学療法)があります。
①物理療法
イ.温熱療法「咀嚼筋(そしゃくきん)が、連続した食いしばりなどによって、「機械的損傷(きかいてきそんしょう)を受けることで、発熱している場合には「冷罨法(れいあんほう)によって、緩徐な徐熱を行います。「咀嚼筋」の血流が悪くなることで鈍い痛みが続く場合には、血流を促進させるために「温罨法(おんあんほう)を行います。
ロ.電気刺激療法:障害を受けた筋肉の内部に蓄積した有害物質を「経皮的電気神経刺激(けいひてきでんきしげき)を行うことで、洗い流す方法です。電気的刺激を加えるので、 ペースメーカーを入れている方、虚血性発作の既往のある方、脳血管の障害やてんかんの既往のある方には使うことができません。
ハ.マッサージ・マニピュレーション:マニピュレーションは、他の関節の疾患で行われるのと同様に、「徒手的受動法(としゅてきじゅどうほう)といいます。動かなくなった関節を徒手的に動きやすくする方法で、顎関節症では、「関節円板障害」で、「復位を伴わない関節円板の前方転位」の病態の時に適用されます。マッサージ療法に関する報告もあります。


《引用文献》 信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会ホームページ
柴田考典、口腔外科領域における顎関節症の治療法、日補綴学会誌 2012;4巻3号.246-255.
テーマパーク8020ホームページ
三上歯科クリニックホームページ
山田歯科医院ホームページ
一般社団法人日本顎関節学会初期治療ガイドライン作成員会編.顎関節症患者のための初期治療診療ガイドライン.咀嚼筋痛を主訴とする顎関節症患者に対するスタビライゼーションスプリント治療について 一般歯科医師編


2014年3月号 顎関節症について  顎関節症の治療5