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歯科通信

顎関節痛障害 Ⅱ  治療の基本的コンセプト

★ 歯科医師 東海林 克

これまで顎関節の構造や、顎関節の運動の特殊性、顎関節症に含まれる病態とその診断ステップについてお話してきました。今回からは、顎関節症の治療に関してお話します。

◇顎関節症の診断

(2)病態の分類手順
一般社団法人「日本顎関節学会」が2001年に示している「顎関節症診療に関するガイドライン」の分類基準を以下に示します。

4.顎関節痛障害 Ⅱ
《診断基準》
顎運動時に顎関節痛を訴え、触診で顎関節部の圧痛を同定できるもの。ただし、咀嚼筋などの症状、および画像診断で骨変形または関節円板障害が確認されたものは除外する。

◇顎関節症の治療
これまで述べたとおり、「顎関節症」という単一の疾患があるのではなく、三主徴である「咀嚼筋・関節疼痛」、「関節雑音」、「開口障害」を示す様々な病態を総括した診断名です。各病態に即した治療法の選択が必要となります。

(1)治療の基本的コンセプト
アメリカ国立歯科頭蓋顔面研究所(National Institute of Dental and Craniofacial Reserch)の報告によると、「顎関節症の原因に関してはいまだ解明されていない。」と記載されています。また、現在顎関節症は「多因子性疾患(たいんしせいしっかん)」と考えられていることから、原因に直接アプローチすることは困難です。そこで、現在の顎関節症の治療法のコンセプトに関して、以前顎関節症の原因のところでお話しした「積み木モデル」を用いて説明します。「顎関節症の発症、永続化に関する寄与因子」の大項目として現在考えられるものとして次のものがあります。
1. 解剖要因、2.咬合要因、3.精神的要因、4.行動要因、5.外傷要因
これらの要因が複合的に積み重なって、体の耐久力の範囲である「総合的耐久力」を超えた時に症状が出るものと考えられています。人それぞれに、各要因種類や要因の占める割合に違いがあり、「総合的耐久力」も各個人でそのキャパシティーに違いがあることから、画一的な対応では症状の軽減を図ることは困難です。図左上に示すように、要因のひとつ、あるいはいくつかを取り去ることができれば、「総合的耐久力」の範囲内に総合的に収まるので、症状の軽減や消失を図ることができるものと思われます。図左下に示すように、完全に取り去ることができなくても、要因の縮小化を図って、「総合的耐久力」の範囲内に収めるようにすれば同じく症状の軽減や消失を図ることができるものと思われます。このことから、症状の発現にかかわる各要因の内容、そしてそのパーセンテージに関して問診をはじめとする診査で確認することができれば、治療を効率的に進めることができると考えられます。

2014年2月号 顎関節症について  顎関節症の診断手順と治療4