歯科通信

顎関節円板障害 Ⅲ  咀嚼筋痛障害 Ⅰ

★ 歯科医師 東海林 克

◇顎関節症の診断

2.顎関節円板障害 Ⅲ
a 復位を伴うもの

《診断基準》
開閉口時のクリックあるいは下顎頭のひっかかりを呈するもの

《診断の確定》
MRIによる関節円板の位置異常と顎運動中における復位の確認

b 復位を伴なわないもの

《診断基準》
開閉口時のクリック消失あるいは開閉口時クリックの既往に引き続き、開口障害および開口時あるいは咬みしめ時痛を呈するもの。通常は患側下顎頭の前方運動障害を伴う。

《診断の確定》
関節腔造影やMRIなどによる恒常的な関節円板の位置異常を確認。

《診断上の注意点》
①各種画像診断において骨変形を確認されたものは除外する。
②復位を伴わない関節円板前方転位が慢性化すると開口距離は増大し、疼痛が軽減することがある。
③最大開口位付近において、下顎頭が関節円板前方肥厚部下面をくぐり、さらに前方移動し、その位置より閉口する際に円板前方肥厚部が下顎頭後方移動の物理的障害となり、閉口障害やひっかり、あるいはクリックを呈するオープンロック(口が開いた状態で固定した状態)と顎関節前方脱臼との鑑別は困難な場合が多い。
④開閉口時のクリックあるいは下顎頭の引っ掛かりを呈するものには、関節の位置異常に起因しないものもある。

3.咀嚼筋痛障害 Ⅰ

《診断基準》
部位を確認できる咀嚼筋などの顎運動時痛を示すもの。

《診断上の注意点》
① 画像診断で骨変形または関節円板障害が確認されたものは除外する。
②疼痛に起因する軟性開口障害を呈するものもある。   
③圧痛検査に関しては、施行にあたっては注意を要する(注意事項略)。
④従来より検査部位として口腔外では側頭筋、咬筋、顎二腹筋、内側翼突筋さらに胸鎖乳突筋が、口腔内では外側翼突筋、内側翼突筋、側頭筋が報告されているが、個々の筋ならびに部位の再現性は不明である。


《引用文献》 米津博文:顎関節症を見直す1. 顎関節症の疾患概念と症型分類.歯科学報,102(7):569-575
広報えなホームページ


2014年1月号 顎関節症について  顎関節症の診断手順3