歯科通信

歯科疾患との関連

★ 歯科医師 東海林 克

妊娠と歯科治療 その一

社会的環境、結婚年齢の高齢化に伴って「少子化」が社会問題になってきています。女性にとって、結婚、妊娠、出産というのは一生の大事業ということが出来ます。「一子を産めば一歯を失う」という言葉があります。「妊娠」は病気ではないのですが、この時期特有の口腔内症状があります。今回から数回にわたって「妊娠と歯科の病気の関連」、そして歯科治療上の注意点についてお話します。

◆歯科疾患との関連

「妊娠すると子供にカルシウムを取られるから、歯がボロボロになった。」という話をよく聞きます。しかし、非常に特殊な場合を除けば、身体の病気によって歯や歯を支えている骨からカルシウムが取られるということはありません。
妊娠中は、母体の胎児に対する免疫反応が働かないように、母体の免疫機能が低下します。免疫機能が低下に伴って、母体は感染に対して弱くなるので、「妊娠性歯肉炎」(右図参照)という歯肉に限局した炎症を起こしやすく、歯周病になっている場合には症状が急速に進みます。
また、妊娠初期には“つわり”があるので、口腔清掃が滞りがちです。さらに食事の時間が不規則になるので、歯周病やむし歯が悪化しやすいのです。
急性の炎症や重篤な感染症を引き起こさないためにも、日頃のブラッシングが重要です。つわりがひどいときには、食後入念にうがいをするか、子供用の小さいブラシを使い、小分けにブラッシングするなどの工夫が必要です。

【ワンポイントアドバイス】
1. つわりのあるときは、体調の良い時間に歯磨きをしましょう。
2. 奥のほうから前にかき出すように磨きましょう。
3. 顔を下に向けて磨きましょう。
4. 香りの強い歯磨き剤を多量につけないようにしましょう。
5. 歯ブラシはヘッドの小さいものを使いましょう。
6. 身体がだるくても、歯ブラシだけはしましょう。

2012年7月号 身体の病気と歯科治療  妊娠 妊娠と歯科治療 その一