歯科通信

歯科歴史館(歯ブラシの歴史)

★ 歯科医師 東海林 克

歯ブラシの歴史


【歯木】

 歯磨き習慣の始まりは古く、紀元前五千年のバビロニア人が食前に必ず麻の繊維を指に巻き、歯の清掃をしていたといわれます。この習慣はバビロニア人からギリシア人へと受け継がれ、ギリシア人はさらにうがいと歯肉のマッサージを習慣としていたようです。
歯ブラシの歴史は、紀元前三千年ころにエジプト人が使用していた「チュースティック」と、紀元前五百年ころにお釈迦様の弟子たちが口腔内の清掃に用いていた「歯木(しぼく)=右上図」がルーツといわれています。この「歯木」は、現在でもインド、パキスタン、サウジアラビア、アフリカ諸国、ミャンマーなどでさまざまな材料で使用されています。


【房楊枝】

 「歯木」はその後、仏教の伝来とともに538年に日本に伝わり、当初密教の僧侶が仏前に礼拝する際に身を清め口をすすぐ儀式の一環として歯磨き習慣が根付きました。この当時日本ではまだ「ブラシ」の観念が無く、「楊枝・房楊枝」として広まり、「歯ブラシ」の名称が最初に使われたのは、1890年(明治23年)に開かれた「内国勧業博覧会」で、大阪盛業会社が「歯刷子」という名称で出品してから後のことです。


【万歳歯ブラシと歯ブラシの変遷】

 商品名として「歯ブラシ」という言葉が登場するのは、大正3年、ライオンが東京歯科医学専門学校(現在の東京歯科大学)の指導で製造した「万歳歯刷子」が最初です。それ以降、全ての製品に「歯ブラシ」という言葉が使われるようになり、現在に至っています。

2007年3月号 むし歯の治療・・・予防について(10)-歯磨きの際の注意点2