心臓手術とは?(疑問をもたれる患者さんのために)

心臓手術とは?・・・・疑問をもたれる患者さんのために

はじめに

心臓

「あなたには心臓手術が必要です。」
誰しも愕然としてしまいます。
「動いている心臓にメスを入れて血はでないの?」「心臓は止まらないの?」そう思うのが当然です。このページではそんな患者さまとご家族の疑問をわかりやすく解説いたします。私たち心臓血管外科医はどのように手術をしているのかご説明いたします。

安全の確保

心臓、肺、脳は生命を維持するためになくてはならない重要な器官です。心臓から肺や脳に血液が送り出されるので、心臓は最重要な器官なのです。それゆえ心臓手術はどの手術よりも慎重に行われます。以下に述べますように様々な安全への配慮があり、術者だけの責任ではなく他の医療スタッフにも安全面の役割分担があります。
世界初の人工心肺を用いた開心術は1953年(ASD閉鎖術)だと言われています。中通総合病院は秋田県の草分けとして1967年から心臓手術を行っている実績があります。

心臓手術とは?

心臓医師

心臓にメスを入れ心臓の中の腫瘍を取り除く
TVドラマをイメージしてください。これが開心術です。心臓を止めて手術を行います。心臓が止まっていれば切っても血は噴き出しません。しかし、心臓を止めると肺や脳には血液が送られなくなってしまいますので、人工心肺装置を使用し血液に酸素を与え脳や体に血液を送ります。
これに対し冠動脈バイパス術のように心臓表面の手術を行う事を非開心術と言います。人工心肺装置は使用する場合と、しない場合があります。

人工心肺装置とは

人工心肺図

人工心臓 をイメージする方が多いと思いますが、人工心肺装置は写真Aのような大掛かりな機械です。ローラーポンプと呼ばれる機械(B)がチューブをしごくことで血液を送り出します。「大静脈に管を挿入し、静脈血を体の外に導きます。血液はリザーバーと呼ばれる貯血槽に蓄えられます。貯血槽は管でローラーポンプに繋がっています。ポンプからしごきだされた血液を人工肺で酸素と接触させ大動脈に送りこみます。」
大動脈に送られた血液は脳や全身に送られます。
人工心肺装置には様々な安全装置が付いています。回路内の血圧を監視したり、血液の酸素濃度を測定したり、誤って空気を送ってしまわないように監視する装置もあります。血流量を調節したり、血液の温度を調節したり、麻酔薬を投与することもできます。そのためかなり大掛かりな機械になっているのです(まさに生命維持装置)。人工心肺装置はどの病院でも臨床工学技士と呼ばれる専門の医療スタッフによって操作されています。さらにもう一人の臨床工学技士がそばに付き操作員をサポートします (飛行機の操縦士と副操縦士の関係です)。

人工心肺
(A)


(B)

ME
(臨床工学技士)

心臓が止まると死んでしまうの?

人工心肺装置が稼働していれば、心臓が止まっていても体に血がめぐります。それゆえ死ぬ事はありません。
では止まった心臓は?
心臓が止まっている間、間欠的に心臓の栄養血管(冠動脈)に心筋保護液と呼ばれる酸素を含む溶液を与えますので、心臓も死ぬことはありません。しかし、心停止できる時間には限りがあります(通常3時間程度)。心臓血管外科医は心停止時間を極力短くするように工夫を重ねています。心臓を止める前にすべての準備を整えておきます。

人工心肺を使うとどんな病気を治せるの?

先ほど例に示した心臓腫瘍の頻度はあまり多くありません。弁膜症手術(心臓の中の弁の異常を治す手術)や、先天性心疾患(生まれながらの心臓の奇形を修理する手術)が代表的です。左室縮小形成術(拡大した心臓を小さくする手術)や、冠動脈バイパス術、大動脈の手術も人工心肺装置が役に立ちます。

専門のスタッフ

手術室

手術に加わるスタッフは心臓外科医が通常3人(心臓血管外科専門医が必ず1~2名加わります)、麻酔科(厚生労働省認定の麻酔科標榜医)が1~2名、 (体外循環技術認定士の資格を持った)臨床工学技士2~3名、看護師3~4名です。術前にスタッフが集まりカンファランスを行い、手術術式を確認いたします。術中は術野がTVモニターに映し出され、各専門のスタッフが患者さまの状態に常に気を配ります。心臓の状態は直ちに血圧や心拍数に現われます。些細な変化も見逃さず直ちに対処されます。

それでも心配な方へ

「医療ミスが起きたらどうするの」
誰しも考える疑念です。日本国内で行われている(緊急手術を除く)予定心臓手術の術後30日以内の死亡率は0.5~1.1%と言われています。手術中の死亡は更に頻度が低く、中通総合病院では1993年から660例の心蔵手術のうち術中死亡は0人でした。
当院で心臓手術を受ける際は、心臓血管外科医師が十分に時間をかけて説明いたします。看護師、麻酔科医師、ケースワーカー、薬剤師からの説明もありますので、不安な心境を遠慮なくご相談ください。

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