「銀冠」、「残光」、「葉落」。皆さん、これらは何の用語かご存じでしょうか。このような名の和菓子もありそうですね。

 医療の最終的な目標は、患者さんの生命や健康を守ることですが、その結果を残念ながらお約束することは難しいです。しかし、どんな状況下にあっても、治療の過程において一生懸命に努力することはお約束できます。この点、一般のビジネスであれば、納期に間に合うという結果であるならば、その過程をあまり考えることはないでしょう。ビジネスと医療とでは、仕事の性質そのものが違うということでしょうか。

 今年も8月末には「大曲の花火」が行われますが、私は大曲中通病院に赴任したこともあり、「花火鑑賞士」の認定試験を昨年受けました。受験者には、分厚い花火の本を読みこんできた方も大勢いる中で、私はといえば前日にテキストを斜め読みしたくらいでしたので、試験には合格しましたが、合格点ギリギリであったことでしょう。認定試験の前には、花火師さんからの講義がありましたが、その中で印象に残るお話がありました。「打ち上げの出来不出来、成功失敗を評価するのは、花火鑑賞士でなくとも良い。花火鑑賞士であるからこそは、打ち上げの背後にある製造過程や苦労までもが理解できて欲しい」といったような話でした。我々が携わっている医療にも通じるものがある内容と感じました。

 結果のみならず、その過程を理解し大切にする。とかく我々は、試験の結果といった、わかりやすいものを指標として物事を判断しがちです。しかし、その本質は見えないところにこそあるのでしょう。「試験に合格しなかったからといって、ご子息の努力を否定しますか?」「花火の打ち上げの出来が悪かったといって、花火師さんの苦労を否定しますか?」私は、医療の分野のみならず、見えないところにある努力や苦労をきちんと評価してゆきたいと考えています。

 さて皆さん、もうお気づきとおもいますが、冒頭の「銀冠」、「残光」、「葉落」は花火の用語です。これらの用語を知らなくとも花火はもちろん楽しめますが、その背景を知ることでさらに楽しめることでしょう。今年の花火を楽しみにしています。

 

2026年8月2日