院長 小貫渉 [26KB]

~開設50周年を迎えて~

日本中を熱狂させたラグビーW杯も、南アフリカの優勝で幕を閉じました。今年は各スポーツにおいて日本の活躍が目立った年でした。来年の東京オリンピックが今から楽しみであります。

さて、中通リハビリテーション病院は昭和44年秋田だるまの会の要請をもとに開設され、今年で50周年を迎えました。昭和44年(1969年)といえば、アポロ11号が月面に着陸した年ですが、日本国内では前回の東京オリンピックから5年が経過、翌年に大阪万国博覧会の開催を控えており、高度成長期の真っ只中にありました。TVではアニメのサザエさんがスタート。県内ではAKT秋田テレビが放送を開始しています。

当院は初代の中谷院長の時代から障害者の権利について深く取り組み、渡邊前院長は近代的なリハビリテーション医療を確立すると同時に、患者のQOLを尊重する医療を追求してきました。これは2001年に発表した医療・福祉宣言にも謳われています。重度障害の患者や経済的に貧困な患者も差別することなく治療を行ない、障害者の社会復帰をサポートして参りました。また、嚥下障害や褥瘡の治療にも力を注ぎ、秋田県内では最も早く嚥下造影検査を開始しています。

現在は回復期病棟と療養病棟を2つずつ運営し、疾患や病態に合ったリハビリ医療を提供しております。特に回復期病棟においては、機械的に入院期間を制限することなく、十分な量のリハを提供すべく病棟を管理しています。また療養病棟においても、患者・家族両方のQOLを考えたアプローチを実践し、満足度の高い病棟を目指しております。

当院は国内でも数少ない都市型のリハビリ専門病院として、地の利を生かして成長してきましたが、しばらくはリハを担当するセラピストの確保が難しい時代が続きました。最近はセラピストの養成校が増えてきたこともあり、多くのスタッフを採用し、7年前からはローテーション研修を導入しております。これはリハビリ病院の回復期病棟・療養病棟、中通総合病院、大曲中通病院をそれぞれ半年ずつ研修するものですが、幅広い視野をもったセラピストの育成が期待されています。

今回の50周年記念事業においては、スタッフが2年前からアイデアを出し合い、準備を進めて参りました。病院のシンボルマークを小・中学生の皆さんに公募し、本日お披露目することになりました。また記念講演におきましては、嚥下障害に関して日本の第一人者である藤島一郎先生に御足労いただきました。職員一同深く感謝申し上げます。我々中通リハビリ病院職員一同は、この感動を忘れずに、理想のリハビリテーション医療を提供すべく努力いたします。今後とも御支援の程よろしくお願い申し上げます。

2019年11月