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昨今、脳卒中患者さんの30%が嚥下障害を有するともいわれ、食べる、飲み込む(摂食嚥下)にかかわる治療・訓練は脳卒中後のリハビリテーションの中でも重要な位置を占めています。
当院では医師・看護師・言語聴覚士などが中心となり、積極的なチームアプローチを行っています。特に嚥下機能の評価では週に一度、嚥下造影検査(VF)を行 い年間200例近い数の患者さんを客観的側面から評価しています。その後必要に応じて訓練食による直接訓練(摂食訓練)、言語聴覚士・看護師による間接訓 練(食べ物を使わない訓練)によって嚥下機能の改善に向けてアプローチを行っています。訓練用の食事についても訓練食1~3および移行食とあわせて4段階 あり,患者さんの状態にあった食事形態を提供しています。
摂食嚥下障害の治療・訓練ではいかに安全に、食べる・飲み込む力を改善、維持させていく かということが重要です。口から食事をとるという事は人間にとって単に栄養を取り、生命を維持するためだけでなく、生きる喜びや意欲の源となる行為です。 点滴やチューブからの栄養補給でなく、口から食事を取れるようになることは患者さん自身にとっても大きな喜びです。
しかし、誤嚥しているのに気づ かず、漫然と食事を継続すると誤嚥性肺炎、慢性的な炎症による体力低下、窒息など様々な合併症を招きます。専門の知識を持ったスタッフがその時々の飲み込 む力を十分に評価、観察した上で無理なく、安全に食べていただくことができるように関わっています。また、栄養サポートチーム(NST)を立ち上 げ、嚥下機能のみならず、全身的な栄養の管理にも力をいれています。